村上春樹

 この人の話の主人公は本当によくセックスをする。1970年代の東京では冴えない男でもセックスできたのか。顔はかっこよくはないけれど、不快感を与えるほど不細工ではなく、色気がある男……というのが春樹の主人公だと思っている。それでいて、僕は(東大生ほどは)頭がよくないよ、なんて白々しいことを言ってる。本を読んでいるとムカつくけれど、もしそんな人と関わることがあったら、私もきっと好きになっちゃうんだろうな。
 1970年代は私の両親はまだ子どもだったから、その当時の「東京」の「大学生」がどういうものだったか知らないだろうし、春樹の主人公がどれほどのリアリティーがあるのか掴めない。とにかく、先行きの明るかった日本の、一番大きい都市である東京で、青春を過ごした人間が羨ましい。